【第4話】さびれた空の青い日

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向かいにさびれた古民家の建つホームに降り立ったのは、空の青い日のことだった。あまりに中途半端なお出迎えだ、記念すべき移住初日だというのに。


トーキョーの服がいっぱいに詰まったスーツケースは嫌味なくらい重くて、うんうんと僕はエスカレーターのない階段を登った。


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体験移住のことを知ったのは偶然だった。いつものようにfacebookに張り付いていたら、友人のシェアで流れてきた。


6ヶ月住めて、家賃は無料。なにをしても、なにもしなくてもいいという。仕事のない僕には好都合だった。


東京の家を引き払ったいま、そうか、いま僕は住所不定無職。



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駅舎を出ると、中途半端に広い青空の下で、まんまる銀色の大きなメガネが僕を待っていた。黒いボックスワゴンが、まるでメガネなんてみえないような顔をして僕とメガネの間をのっそりと横切る。まんまるメガネは、渋谷のハチ公とは違って、あまり憩われてはいないらしい。


別にうんざりはしない。
故郷と同じだから。
慣れているから。


うんざりはしない。


なんだかもう、何もわからなかった。
ここはどこなんだろう、


何をしているんだろう、


僕はどこへいくんだろう。



スーツケースの奥底でつぶれている、
トーキョーの記憶を思い浮かべた。



鯖江駅

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福井県鯖江市は人口6.9万人、福井市の隣に位置している。

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